《MUMEI》

「喰らぇえっ!!」

炎の十字架がノームに直撃し、炎で姿が見えなくなる。

「ノーム!?」

しばらくして炎が収まるとそこにはノームが立っていた。

「下級ヴァンパイアなら一撃だったかも……」

服の埃を払うとレッカを睨む。

「けどさ僕そんなに弱くないから。」

ノームは余裕の笑みを浮かべると魔法を唱え始める。

「(普段のノームじゃないような……殺気……?)」

「愛しき者を護る為に吸血鬼は力を使う……血の制裁を受けよ!ブラッディクロス!!」

真紅の十字架がレッカの頭上に、そして赤い剣閃が降り注ぐ。

『勝負あり、勝者B組イツキ!』

どっと歓声が巻き起こる。

* * * * *
「イツキぃ〜疲れた。血ぃちょうだい〜」

「ねぇノームって何者なの?さっきの強さといい……」

「イツキがだーいっ好きなただの吸血鬼だよ?…もーらいっ」

イツキの首筋にかぶりつくと美味しそうに血を吸うノーム。

「あんまり吸いすぎると貧血に……」

「愛の数だけ人は強くなれるんだよ。イツキ〜大好きっ。」

「あんた人じゃないし。冗談好きだなノームは。」

「細かいこと気にしないの〜それに冗談じゃない、本気。」

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