《MUMEI》

「よー、今日もよろしくなっ」

相変わらず陽気な自分の主を一瞥し、傍らに立つ。

「連れねーの。帰ったら剣で勝負だからなっ!」

「御意。」

皇子が自分の癖のある金髪をくいっと無造作に束ねると

「演技頼みますよー?」

などと家臣たちに言う。
微かに笑いが起こる。

町を歩く姿は騎士の深い紫の長い髪が皇子の金髪を引き立ててさながら絵画の様だと街では評判だ。

皇子の方から庇って貰うために騎士と密着すると街娘達は悲鳴に近い声をあげる。

『ちょっとやり過ぎでは……?』

『いいのー。インパクトあった方が印象に残るって言うし。あ、もしかして僕と近づくの嫌とか?』

『決してそんなことは……!』

『本当に?嬉しい…!』

頬を赤らめて笑う皇子を見て胸の辺りが熱くなる。

『なら……これも嫌じゃない?』

ぐいっと騎士の体を引き寄せる。
そして唇に触れるだけのキスをする。

街の人々が一拍置いてから騒ぎ出す。

「ーっ!!?」

「嫌……だった…?」

しゅんと下を向く皇子。

「いいえ。その様なこと決してございません。」

「無理しなくても…」

「無理などしてませんから。」

顔を真っ赤にして泣きながら飛びつく皇子。
それを受け入れ、抱き締める騎士。

街の人々は”本当の姿”の皇子を見て、微笑んでいた。
ただ甘えていたかったのだと。
次期国王の重圧から解放されたかったのだと。

ーもう、”本当の自分”を隠さなくてもいいんだよー

後日王宮が混乱に陥ったのは言うまでもない…
* * * * *
何がBLだよ!と、思った方。正解!

解説しますと…演技を止めて甘えん坊な本当の自分をさらけだしたかった…というだけの話。騎士は巻き添え喰らった的なイメージ。

寝る前にちょっと書いとこって……
何だろうね…これ。
短いし、最終話だけ異様に長いし。

言い訳はここまでにして。
読んでくださり感謝です!
これからもこんな文章ですがお付き合い頂けると嬉しいです。
駄作の名人・如月雛菊でした!

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫