《MUMEI》

俺、ぶすっとしてたんだよね

同じ街でも、賑やかな繁華街から少し離れたところにある
小さな庭がある静かな店

春馬さんと優子さんが来たんだよね

綾波さんとヤマトが居る

暴れなかったのか?

来るなりそう聞いてきた春馬さんの言葉を無視したんだ

かなり、不機嫌ね

優子さんの声、
俺、誰とも目を合わせてないんだ

またなんで、そんな店に言ったんだよ?

春馬さんの質問に

違うよ、街で翔太が優待券もらって、
私がちゃんと言えば良かったの、

眞由美が答えると

あら、イケメンの仲間入り出来たってことね

優子さんが冷やかすように言ったんだよね

俺、完全無視
料理にも手を付けないし、飲み物も口にしなかった

眞由美のやつ、断ってくれればいいのによ……
綾波さんに押し切られやがったんだよね

翔太様が箸持たないと眞由美様、食べれませんわ

綾波さんのその言葉も無視したんだ

おい、翔太、

呆れたような春馬さんの声

なに?!

そんなに機嫌悪いのか?

見てわかんだろ
せっかくのデートを、邪魔しやがって

邪魔したのは俺じゃねーだろよ!

そだね、綾波さんだね

わたくしですか?!

違うの、公園でいちゃついてた時に電話が

いちゃついてたのか?

自分で言うの?くすくす、

春馬さんと優子さんが笑ってた
なんか神経逆なでされた気分でさ

用件を言えよ、

綾波さんを睨むようにして言ったんだよね

横柄すぎるんじゃねーか?!

ヤマトの言葉に

文句があんならかかって来い!
アタックはパック使わせてやるよ
綾波 、持ってきてやれ

翔太!

春馬さん、黙ってなよ
こいつらの物差しに合わせてやってんだ、
人を見下し、強さを誇示して言う事を聞かす低脳な不良どもによ!

しょ、翔太様……

お前、

黙れ!

テーブルのグラスが揺れて、お酒が溢れたんだよね

我慢我慢、なんでも我慢か?!
俺だって感情があるんだよ、
せっかく治りかけたイライラを呼び戻しやがって、
どうした、ヤマト、暴力は得意なんだろ?
相手してやるよ!

バキイーン!

グラスが割れたんだ

綾波さんが青ざめてた、
闘気、全開だったかな

手加減、いらねーよな?

翔太、お前……

能書き要らねーよ、お前の仲間が眞由美になにをした?
ケジメ取れんのか?あ!

うぐっ、ん、

………落ち着いた?
ダメよ、そんなに熱くなっちゃ、

眞由美、俺の頭を掴んでキスしたんだよね

不思議と少し冷静になったんだけどさ
今更引けねーし

わりーけど、帰るよ、
気分最悪だからよ

そう言って立ち上がると、眞由美も立ち上がったんだ

デートの続きしようよ

そだね

部屋を出るとき

誰にもモノを言ってるのかわきまえろ、
お前らのルールに、乗ってやるさ、
俺に負けたら女も金も全て置いてけよな、
ま、生きてねーだろうけどよ

背中を向けたまま言ったんだよね、俺さ



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