《MUMEI》
出口
「あー疲れた。休憩しようよ」


沙羅は地面に座り込んだ。

「さっきしたばっかだろ?」

幸紀は呆れながらも、沙羅に手を差し伸べる。
幸紀の足下にはキラキラと川が流れている。

沙羅はその手を使って立ち上がる。



「でも、このまま歩いていく行くのは不可能ですよね。」

瑠菜は考え込むように言った。
川の水に太陽の光が反射して凄く眩しい。


「何処かで乗り物を買いましょう。」



瑠菜が納得したように手を叩いた。



「でもお金が・・・」

と沙羅。

「お金ならセレナ様から受け取っているから大丈夫ですよ。」


と瑠菜。
さすがだ。やっぱり、しっかりしてる。


沙羅は関心の眼差しで瑠菜を見る。



「よぅっし!あとちょっと頑張るかッ!」


沙羅は歩き出した。
それに続いて瑠菜と幸紀が歩いていく。


それにしても、一向に景色が変わらない。
さっきからずっと綺麗な森の中を歩いている。
人間界では、見たことがない植物が沢山ある。




「なんか進んでいる感じがしないんですけど、コッチで本当にあってるんですか?」



沙羅は肩を落として、腰を曲げて・・・まるで、疲れはてた老人のようだ。





・・・その時。




「あっ!アレ出口じゃないですか?」


瑠菜の指差す方を見ると、出口らしきものが見えてきた。ん?『もの』じゃないよな?・・・ま、いっか。



「うわ!本当だぁ!やっと森から出られる〜」



沙羅は出口に向かって走り出した。

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