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《MUMEI》 「良、お早う御座います」 カーテンを開く音と、そこから差し込んでくる朝の陽にゆるり目を覚ましていた 起き抜けでまだぼんやりとする頭 暫くベッドから動けず座ったままでいると 目の前にふわりいい香りを漂わせるコーヒーが差し出される どうぞ、と差し出されるソレを受け取り一口 飲めば幾分か頭がすっきりとしてくる 「朝ごはん、作りますから。顔、洗って来てください」 いつの間にかエプロンを身に着け台所に立つロイド その手際は相変わらず見事なもので つい近く寄り、顔を洗う事も忘れその様に見入ってしまう 何故、この機械は自分よりもはるかに器用なのだろう 手先もそうだが何より人との接し方が 「……情けねぇ」 ソレに比べて自分はどうだ ヒトを遠ざけ、接する事を不得手としそれゆえ一人を好む そんな自信を変えたいと思ってはいるのに どうしていいかが、解らなかった 「良？具合でも悪いんですか？」 突然黙ってしまった小野坂へ ロイドは心配気な表情で顔を覗き込んでくる 互いの距離が、息が触れそうな程に近い 「……だ、大丈夫。平気」 「そうですか？」 小野坂の返答に、だが納得がいってはい無い様で 顔が更に近く寄り、額同士が触れあった 「熱は、ないですね。これなら、大丈夫」 確認して、漸く納得する まるで幼子にしてやる様なソレに 小野坂は照れてしまいつい顔を背けてしまった 「じゃ、朝食にしましょう」 ロイドは相変わらずの笑みを浮かべながら 小野坂へ食卓へ着く様言って向けると、食事の支度にまた動き始めたのだった…… 前へ |次へ |
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