《MUMEI》
原因
「洋平も…聞いた‥の‥?」

優香はかすれた声で、途切れ途切れに喋る。

美樹程ではないが、彼女もまた恐怖で震えていた。


「洋平も…あの‥声を…?」


その言い方からして、どうやら優香達も洋平と同じ夢を見たようだ。


「聞いたよ。ただ、俺はソイツの…その声の主の姿も見てる。」

「え?」

「昨日の夕方…見たんだ。」

「それって…」


井上が死ぬ直後のあの出来事だという事は、容易に頭に浮かんだ。


「…どんな‥人‥なの?」

優香は不安げな目で洋平を見る。


知るのは怖いが、知らないのはもっと怖い。


口には出さなくとも、目はそう言っている。

しかし洋平は迷った。


事実を言っていいのか?

それを言ったら、余計に怖がらせてしまうのではないだろうか?‥と。


「え〜……っと…」


自分の腕の中で未だ震える美樹を思うと、言ってはならない気がしてならなかった。



しかし…



「私も…知りたい…。」

「美樹!もう大丈夫なのか?」

「なんとか…。ねぇ洋平、私達も知る必要があるの…。だから教えて…」



洋平の腕から離れた美樹は、司とその後ろにあるパソコンに視線を向けた。



「原因はその女の人なの…?」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫