《MUMEI》
犬小屋
そんな昼下がり



『チュンチュンチュン!』



小鳥が一羽、ベランダにやって来てこう言いました。


「ねこさんねこさん、あなたはどうしていつも此処にいるのですか?」




するとねこはこう答えました。



「ここが僕の家ですから。」

「家…ですか?」





ねこが見上げた先を小鳥も見ます。


赤い屋根の白い小屋。





「まるで犬小屋の様ですね。」





小鳥はクスクス笑いながら、どこかへ飛び去っていきました。







ねこはまた一人になりました。





「犬小屋?…違うよ、これは僕の家だよ…。」






ポツリと一言呟いて、ねこはまた空を見上げます。




「犬小屋じゃないですよ…ね?」




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