《MUMEI》

依然として立ち塞がるアルテミス。

睨み付けると、アルテミスは頬をにたっと緩ませた。

「奇遇だなァ。俺はてめぇに用がある。だが、今じゃない。出直して来いよ、ガキ。」


「おい――…!」


アルテミスが俺の腕を離し、薄れていく。

当然矢吹慶一郎も。

「諸君、幸運を祈る。」

そう言って残像すらも塵となった。

場面は静まり返り、群衆は矢吹慶一郎の居た場所をただ見詰めているようだ。

「…カケル。」

フィールドはいつの間にか見えなくなっていたらしく、アカネが此方に駆け寄って来ていた。

「惜しかったね。」

「………?」

俺は一瞬、頭が話についていかず無言で小首を傾げてしまった。

「アルテミスのこと。勿論矢吹もそうだけどさ。」

そこで漸く意識が体に戻ってくる様な感覚を覚えた。


そうだ。


沢山の事があったんだ。

あの光る超魔法。

矢吹慶一郎の突然の訪問。


そして`俺に用がある´ という意味深な言葉。


解らない事だらけだが、一つわかる事がある。

つまり、これらは全て次があるという事実の裏付けだ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫