《MUMEI》 依然として立ち塞がるアルテミス。 睨み付けると、アルテミスは頬をにたっと緩ませた。 「奇遇だなァ。俺はてめぇに用がある。だが、今じゃない。出直して来いよ、ガキ。」 「おい――…!」 アルテミスが俺の腕を離し、薄れていく。 当然矢吹慶一郎も。 「諸君、幸運を祈る。」 そう言って残像すらも塵となった。 場面は静まり返り、群衆は矢吹慶一郎の居た場所をただ見詰めているようだ。 「…カケル。」 フィールドはいつの間にか見えなくなっていたらしく、アカネが此方に駆け寄って来ていた。 「惜しかったね。」 「………?」 俺は一瞬、頭が話についていかず無言で小首を傾げてしまった。 「アルテミスのこと。勿論矢吹もそうだけどさ。」 そこで漸く意識が体に戻ってくる様な感覚を覚えた。 そうだ。 沢山の事があったんだ。 あの光る超魔法。 矢吹慶一郎の突然の訪問。 そして`俺に用がある´ という意味深な言葉。 解らない事だらけだが、一つわかる事がある。 つまり、これらは全て次があるという事実の裏付けだ。 前へ |次へ |
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