《MUMEI》 また明日~麗羅視点~ 私が帰っていると校門に男の子が1人立っていた。 気にもとめず、私が通りすぎようとするとその人が私の腕を掴んだ。 「何?」 私が冷たい視線を向けると、その男は真っ赤になって一礼しながら大きな声を出す。 「あの俺、同じクラスの斎藤っていうんですが一目惚れしました! 付き合って下さい!!」 「ごめん。興味ない」 その1言を残して私は去っていく。 すると後ろから着いてきていた蝶野が 「わぁ~初日からモテモテだねぇ~!」と感心したように言った。 私は「興味ない」と答える。 ………… 人の気持ちは、冷めて移り変わっていくから。 信じられない。 今日告ってきた奴らだって、すぐ他の子好きになるんだ。 蝶野もきっとすぐに私のこと飽きて離れていくんだ。 他人に期待なんかしない。 期待したって……悲しくなるだけだから。 しばらく歩いていると蝶野が「じゃあ栄実の家こっちだからまた明日ね」と言って手を振ってきた。 私は、蝶野の顔も見ずに歩き続けた。 また明日……か。 果たして明日も蝶野は、笑顔で私に話かけてくれるんだろうか。 チラッと後ろを振り返ると、蝶野はまだこちらを見ていて私と目が合うと、一瞬驚いたように目を丸くしたが、次の瞬間には笑顔を浮かべ手を振り始める。 そんな蝶野を見ると何故か急に目頭が熱くなるのを感じた。 前へ |次へ |
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