《MUMEI》
嘘?本当?
「ただいまぁ。」

菜々子が戻って来た。

「戻ってきたぁ。」

咲姫は菜々子に飛び付いた。

「咲姫。ウザい」

菜々子はこう言っているけど嫌そうな顔はしていなかった。







「でね。呪いの指輪の話、ネットの友達から聞いたんだけど、この世にたった1つしかない呪いの指輪があるんだって。デザインは他の指輪と変わらないんだけど、呪いの指輪をはめた人は、必ず不幸になるの。具体的には、良く分からないんだけど、ソレだけははっきりしてるらしいよ。
絶対呪われる、って。」



咲姫は、
「怖いねぇ。」
と他人行儀だ。全くこの子は。

「えー。やだぁ」

私は両手を頬に当てた。

「ふん。そんなの嘘だよ。」

菜々子は全く信じていないようだ。


「えー。本当だよ!」

葵も、断じて負けてはいない。

「だって本当に呪われた人居るんだよ?」


「嘘。」

「本当。」

「嘘。」


「本当だってばっ!じゃあ聞いてよ。本当だから!」
葵は顔を真っ赤にして、言った。

「はいはい。」

菜々子は呆れたように言ってみせた。

「あのね。○○学園の人なんだけど。その人はある日突然、手首切って自殺しちゃったんだって。死体の指には呪いの指輪がはめてあったんだって。それで数日後、指輪は消えて無くなっていたらしいよ。つまり、今どこかに呪いの指輪は存在するってこと。」


私は何故か悪寒がした。

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