《MUMEI》

涙が止まらなかった、

公園のベンチに座って泣いてたんだ

体が冷えきってた

帰ろう…………、

アパートの前まで帰ってきたんだ

ここしか、俺の居場所はないからさ

空が明るくなってきてたよ

!……うぜー、タクヤの車だよ…

タクヤが降りてきた
イズミさんも……

拳を握ったんだ、なんか、激痛がしてたけどカンケーねー!

タクヤ、私が話すから

勘違いよ、私の話しを聞いて

うぜーよ、消えろよ

聞いてよ!

そんなに、笑い者にして、楽しいのか?!

そんなんじゃないわ!
お節介なのはわかってるけど、違うの、
とにかく聞いて!

断るよ、何一つ、傷も付かず!
高いとこからモノを言いやがって!
そんな奴らの言葉なんか聞くきたくもねー!

タクヤが、イズミさんの前に出たんだ

とにかく、殴れよ、少しは気が晴れるだろ?

けっ、男の面に興味はねーな、
イズミさん、パンツ脱げよ、
そしたら、ゆっくり聞いてやるよ
…………おら、どした?

最低だ俺、
でも、こう言えば居なくなる、
もう、うんざりなんだ ………

ふたりを押しのけ、アパートへ向かったんだ
でも階段を登ってたとき、後ろから足音がしてさ

うぜー!

ほら、パンツよ、脱いだわよ!

振り向いた俺に、ストッキングと下着を丸めた物を、突き出すイズミさん

部屋に行きましょう、
出すもの出して落ち着いたら、話を聞いて!

な、な、え?!

俺、イズミさんの、腕を払い除けたんだ、
そしたら、イズミさん、階段から落ちそうになって、

いけねっ!

咄嗟に腕を掴んだんだけど

ズダダダン!

痛っ、

オレが落ちちゃったんだ、
鉄の階段だから凍るんだよね

ノブ、大丈夫

イズミさんが階段を降りてきたんだ

しゃがむから、ま、丸見えに……

ノブ!

鼻血が…………

タクヤ、救急車!
頭打ってるわ!

わかった、寝かせとけ、横向かせろよ、
吐いたら喉詰まらすからな!

わかったわ!

大袈裟だよ、
あれ、クラクラする

ノブ、しっかりして

膝枕………イズミさんの、
下着、穿いてないんだよなぁ

…………

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