《MUMEI》

昔の私とはサヨナラするんだ
見栄っ張りで、つまらないことに意地を張って、
打算的で、その場しのぎの私とは

アキナが俺の手を握ったんだ

ノブ、貴方とこうなれて、本当に良かったって思ってるの
………イズミさんにね、色々話しちゃったの、
ノブ、話されるの嫌かなって思ったけど、
たくさんお世話になったし、
たくさん心配掛けちゃったし、
もう大丈夫、ちゃんとしてるよ、
幸せ見つけたよって伝えたかったの、

何言ってんのよ、ノロケと自慢じゃない、

うん、自慢の彼氏だもん

自慢?……俺なんかが?…

俺、またアキナのことで驚いた
俺なんかを、自慢したいなんて

………そっかぁ、なんでも話せる人なんだね?

うん………見栄もプライドも、
二人には通用しないもん……

………ねぇ、アキナ、
イズミさんの家にいるとき、どうやって着替えてたの?

え?……

タクヤさんが泊まってるときとかさ

………後で、話すね

今話せないの?

………背中向けてくれてたよ、

お風呂上がりとかは?

……そっか……
バスタオルは、まいて出たけど、
毛ぐらい見られてるかもね、

真っ直ぐ俺を見て、アキナは話してたんだ

そっか

手を出してきたら、面白いなって、思ったよ、
イズミさんが帰ってくる前に、タクヤさんと二人きりになったこともあるから、

楽しんでたの?

……どんなに、気取ってても、男なんてみんなヤリたがる、
そう思ってたし、
ヤケになってる自分もいたかな
犯されてるし、
身体なんてべつにって、ね……

そっか、

でも、二人きりの時には何もしてこなかったよ

え?

私が居ても、始めちゃうの
私は寝たふりしてたけど、
三人でしようって誘われてる気もしたわ

……………俺、言葉が出なかったんだ
イズミさんも、タクヤさんも何も言わなかった、
否定もしなかったんだ

……うん、なんとなく、わかったな
好きなんだね?

違うよ、憧れてただけ、
イズミさんにも、タクヤさんにも、
二人の関係にも、

憧れ?

うん、イズミさんに内緒でやらせろよって、なったら、
バカに出来た、
なんかねぇ、楽しみたいなら来いよ、
そんな感じだったのかなって、

………参加、しなかったの?

………考えたよ、
でも、出来なかった
愛し合ってる人達の中になんか、入れないよ、
二人がソレだけの関係だったら、
私もしてたかもしれない……

ソレだけって?

身体だけ、欲望だけってことよ

そっかぁ

してたかもしれないよ!

うん、そうだね

お、怒らないの?

………怒ることなのかなぁ?
不愉快な気持ちは有るけど………女の子だってね、
それに、あの変な奴と付き合うぐらいなら、
その方がマシかも知んないかなって言ったら、泣くか?

………初めは良い人だと思ったよ
お金持ちだし、色んな店知ってるし、
話題も豊富だし、
けど、薄っぺらい人だなって思ったの、だから、なんか、最後まで出来なかったのかな、
援交の、不倫の中年男より、薄っぺらい気がした……

タクヤさんの、そばに居たかったの?

…………それ、ある、
タクヤさんだけじゃない、イズミさんも、
だから、知り合いの人ならって…

アキナ?!
それで、付き合ったの?

イズミさんが、アキナに聞いてた、
凄く驚いた顔して

………一番わかってくれてるのは、ノブ
私より、私を知ってるんだ、
素直になれるのもノブ
わたし、ノブが居てくれないと、落てく、
けど、戦える、
自分とも………
ノブが私を大切にしてくれるから、
自分を大切にできるの

アキナ、そう言ったんだ

……………

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