《MUMEI》 姉貴の奴、すっかりアキナと、仲良くなりやがって…… 何度も来てたんだよね、 交通費だけでいくらだよって、思ったよ 姉貴の旦那さんも何度か来てさ、 子供と遊んでるアキナを見て、 なんかいいなぁって思ったんだ ………新築のちょっと豪華な物件に入ろうと思ってたのにさ 姉貴の奴、口出しやがって 彼女も中古でしょ? ぶん殴ってやろうかと思ったけど、 アキナが、怒ってないから…… 築浅の、まぁ、綺麗な物件だよな 出窓はないけどさ 契約の時、姉貴が付き添いに来てたんだよね 姉貴と二人でファミレスに入ったんだ ノブ、不服なの? べつに 駅から少し歩くけど、明るい大通りだし、 近くにコンビニも、ドラッグストアーもあるよね? そうだね…… オートロックでしょ? 洗濯物も室内で乾かせるよね? ……なに? ノブ、真新しいお洒落な部屋で暮らしたいっての、わかるよ、 アキナの事考えて、 絶対、変な男、現れるよ 私もそうだった、写真やびでおを手に入れて、黙っててやるからやらせろよ、みたいなね !……… 治安が一番よ、人通り多い方がいいし、 生活が見えない方がいいの 姉貴…… 結婚するとき、新居似なさい 今は、守るものをしっかり守るの、いい、 責めちゃダメよ 一番わかってるのは本人なんだからね 驚いたよ、姉貴に 春休み、車取りに来なさいね え?! 名義変更しとくから、 保険は高いわよ、覚悟して払うのよ、 いい、保険は絶対入りなさいね! 言葉が出なかったよ 帰り際、姉貴が言ったんだ まっ更な女も、悪くないと思うけど、 多少痛手ある女の方が、 良いわよ、 その痛みが、今の彼女を作ってるの 忘れないでね 自分より、好きな人の事を大切にできる女の子よ 甘えすぎないでね 大人だ 俺の知ってる姉貴じゃないみたいだった 結婚して、子供も居て 今だっておなか大きいのに 俺のために何度も来てくれて 駅まで送るつもりだったんだけど ホームまで送ったんだ なんか、思いやりってやつは、 俺が思ってるより暖かくて、 なんだろう、染みるや 凄く、しみるなぁ 窓から手を振ってる オレも手を振ったんだ 電車が走り去っても、暫く見てたんだ 俺も、いつか、 誰かに、こうしてあげたいな 自分の事に精一杯の俺は、 まだ、できそうにないけど いつか、大切な人に ………… 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |