《MUMEI》

電話が鳴ったんだ、自宅の固定電話が

母さんが出て、やたらていねいに話してた、
相手に見えないのに、何度も頭を下げながら

アキナのお母さんからだった……

電話を変わり、アキナが話してた

険悪な感じじゃないけど……

電話を終えたアキナが

ノブ、家に来てって、

え?

夕食を食べないかって

うん、行こう

ノブ、髭ぐらい剃ってきなさい!
手土産を忘れないでよ!

母さん、そう言ってお金を出したんだ

あるよ、お金はいい

それなりのものを買ってきなさいよ!

うん、わかった

俺、滅茶苦茶緊張して、アキナの実家に行ったんだ

けど、父親は不在だったんだ

アキナのお母さんの手料理

普通の会話

でも

………父さんが、土下座した?
お嬢さんを預からせてくださいって……

箸が止まったよ

その後、二時間近くオモテで父さんがアキナを、待ってたって

アキナ、自分の父親と、最後の話し合いをして

好きにしなさい、

そう、言ってもらえたんだって

アキナのお母さんが、携帯電話を出したんだ

同じものよ、お父さんが壊しちゃったものね

お母さん……

自分の人生よ、
思い道理に進みなさい
責任は、全て自分よ、わかってるわよね?

はい、

ノブ君、食べて、たくさん作ったのよ

………はい

ノブ?

…………いただきます

……涙が出てた、

親に逆らうの、初めてね、

逆らってないよ、わかって欲しかっただけ

お父さん、淋しそうにしてたわ

……そのうち、喜ばせる、
まだ、私達子供だから、でも、大人になって、孫の顔見せるわ

………お婿さんが欲しかったみたいね

……ごめんなさい、ノブ、長男だから

色んな男性を見てからでも、遅くないのよ

うん、わかってる
でも、なかなかいないよ、
醜い部分、悪い部分までさらけ出せる他人なんて
他人同士が家族になるんだもんね
本音で話したいし、
しっかり前を見たいもの
世間知らずの私が言っても、説得力ないけど
全部話したんだ、
それでも、選んでもらえたの
………今度は私の番
逃げてたら、何も解決しないもん
見てて、
わたし達を

………おかわりあるわよ、ノブ君

はい………なんか、胸がいっぱいで…

良い、家族ね
素敵なお父様だったわ

…………ダメだ、止まんねーや

何を話したかも、あまり覚えてない

深々と頭を下げて、アキナと玄関を出たんだ

なに、泣いてんのよ

姉貴?!

はい、 鍵

え?!

じゃぁ、帰るね、
あ、そうそう、家には戻るなって、
ノブと話すことはなんにもないって、お父さんから電話が来たわ

そう言って、姉貴は旦那の車に戻って行ったんだ

手を振ってた

目の前に停められてる車

姉貴が乗ってた車だ

都内のナンバーが付いてる

コンビニの駐車場に停めてた

名義が俺になってる
保険も、入ってる
父さんだ、父さんが払ったんだ
誰が乗っても降りる保険、高いのに……

駐車場の場所のメモ

新居の隣じゃんかよ

ETCカードまで入ってるよ
親父の家族カードだ、
燃料のカードまで……

マジで涙が止まらなくて、

アキナが、俺の手を握ってくれてて

…………会話もなく、そのまま、泣いてたんだけど

帰ろう

アキナを、見て、言ったんだ

うん、帰ろう

アキナの、手を握り締めた

そして、エンジンを掛けて、走り出したんだ

…………

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