《MUMEI》
もらい泣き
あの日から一段と、タクヤさん達と仲良くなったかも

遠慮してたのよ、ラブラブ生活邪魔しちゃ悪いかなって

そんな、夜は、ほら、二人きりだし

毎日?

………減らしてます、飽きられたら困るもん
イズミさんは?

週2ぐらいかしら、

なんの会話だよ、昼間っから

毎週末、4人で遊んでたんだ

焼肉屋さんで有色かぁ、
高そうだなぁ

金は心配すんなよ、
好きなもん食えよ

そうよ、若社長なんだから遠慮しなくて良いのよ

タクヤさん、お父さんが亡くなって、
大学辞めてかいしゃを引き継いだんだって、
知らなかったよ……

ノブ、少しバイトを減らしたんだしょ?

うん、週末は遊びたいしさ、
アキナも家庭教師始めたしね

ほら、お互い学費は親に出してもらってるから、
少しはゆとり出来たの

家賃は俺の親父が払うと言って引かなかったんだ、
俺の為じゃない、アキナちゃんのためだって……
母さんから聞いたんだよね

くすっ、意地っ張りなお父さんね

ノブのお父さんは素敵よ、
家なんて、自分の娘のこと、
ふしだらな娘を預かってもらってるのに、お金まで甘えるわけにはいかないって…

ふしだらって言われたの?

そうよ、母親に、

全部話したのか?

うん、話さなきゃ進めないもん、
親戚の人にやられたんだよ、
私にも非はあるけど、
もし、ノブと、結婚式することになっても呼びたくないじゃない

なんか言ってたか?

なんとなく、知ってたみたい、

親だもんな、そうかもね、
お、焼けたぜ
ほら、ノブ、食えよ

はい、頂きまぁす

凄いわね………ノブ、

うん、こんなに前に進めると、思ってなかった

凄いのはアキナだよ、
ちちおやの前で全裸になって抗議すんだからさ

昔はよく裸にされたのよ、
誰に買ってもらった服だ、
誰のおかげでこの家に住めるんだってね

小学生の、頃でしょ?

そうよ、それから怒られないよう、良い子演じてたもん

タクヤ、私も両親と会って来ようかな

俺も行くぜ

タクヤが来ると、また、揉めるよ

いさつしねー訳に行かねーだろ、
嫁さんにもらうのによ

結婚するの?!

おう、来年辺り考えてる

どんなプロポーズしたんですか?

してくれてないのよ、コイツ

ひっどーい、女の子は待ってるのにぃ

んだよ!
じゃぁ、今したるよ!

ほら、指輪だ、嫁になれ

え?!

嫌なら捨てろ

タクヤ?…………

タクヤさん、はめてあげなくちゃ

ちっ、こっ恥ずかしぃ
ほら、指出せよ

………ロマンチックじゃないわね、

そう、文句言ってたイズミさんだけど、
涙ぐんでたんだ

いつか、俺も、アキナに………

やだぁ、ノブ、もらい泣きしてるぅ

アキナに、からかわれたんだ

んだょ、自分だって

だってぇ、凄いとこに立ち会っちゃったね

うん、ドキドキしてるよ、俺

私もだよ、ほら
こら!、そっちじゃない!

俺の手を胸に導くからさ、つい、乳房をさ

もう、ぜんぜんロマンチックじゃないじゃない!
でも、最高かな、ノブとアキナの前でってのも

イズミさん、はめてくれた指輪を眺めながら言ったんだよね

アキナ、今日は飲んじゃおうよ

うん、飲んじゃお

潰れても面倒見ねーからな!

ぷっ、照れ隠しでタクヤさん怒ったふりしてる

そうね、くすくす

コイツら…………

やっつけられちゃったね、ノブ達に

けっ!
な、なんだよ……

似合わない?
私がすると……

んなこと、ねーよ……

イズミさんが、タクヤさんの頬にキスしたんだ

いあなぁ

べー、してあげなあょ

ちぇっ

俺達の会話に、タクヤさん達も笑ってたんだ

……………

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