《MUMEI》

人、人、人。

何処までも人しか見えないこの場所で、俺は軽く迷子になっていた。

いや、迷子なのだろうか。

OSの地図くらい暗記しているのだが、二人の場所が判らない。判るのはハルがOS内にいる、という事だけだ。

フレンド登録してあるプレイヤーは居場所が見れるのだが、それも判るのは地名まで。

焦るとまではいかないが人口密度のせいか、額から汗が滲み出る。


くそ、こんな時にアイも居ないし…!

そう思った矢先。


「カケルさまああぁぁぁぁぁあああ!!」


遠くから確実に近付いてくる聞き慣れたまるで人間の様な機械音。

そして音の正体は段々と姿を現し、俺の胸に言葉の通り飛び込んできた。

「お前…何処に行ってたんだ……?」

「気になる事があって、カケル様の為になると思って調べて来ました!」

息を切らしたまるで天使の小人は、眉間にしわを寄せていた。

即座に頭を切り換える。

アイが言う程だから相当`気になる事´だったのだろう。


「ここだと人が多い。そうだな…一先ずはハルとアカネと合流したい。」


「了解致しました。」

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