《MUMEI》

そう言うとアカネは視線を下げてポーチを揺らす。

「メグミ。」

アカネの声を聞くと、ポーチの中にいるらしい`メグミ´はモゾモゾと狭そうに動き出した。


「な…なに…?」

ポーチの中から少しだけ覗かせる黄金の髪は質が良く、肌の色は透き通る様な白。

「二人に挨拶。大丈夫だから。」

穏やかな瞳で促すアカネに応える様に、`メグミ´は顔を全て出した。


瞳は、何処までも深い様な錯覚を覚える程の海の色。


「な…名前はメグミ。僕はアカネちゃんの妖精。よろしくお願いします……。」


オドオドとしながら上目遣いで自己紹介をされる。そんなもん、いくら性別が男だとしてもちょっとはときめく。

「よろしくね、メグミ。私はハル。この子は――…。」

「アルト!よろしくな。」

アルトが深紅の髪から顔を覗かせる。

「俺はカケル。んでこいつが俺の妖精アイ。」

「宜しくお願い致します。」

アイは礼儀正しくぺこりと四十五度程腰を下げた。


自己紹介を一通り終えると、アカネはやけに機嫌が良くなったので、なんとなく聞いてみた。

「なんか機嫌いいな。」

すると、愛おしそうにポーチを見詰め、目尻を下げた。

「メグミと私に良い仲間が出来て良かったなぁって。」

なんだか凄い誉め言葉に、俺は「ふぅん。」とそっぽを向いてしまった。


嬉しすぎて、顔から火が出そうだ。

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