《MUMEI》

「……キスしていい?」


「やだ。」
英訳を続ける。
七生の方がやっぱり早く終わった。


「なんで!」


「下に母さんいるし、隣で麻美も勉強してる。それにまだ俺勉強してるから。」
突き放す。


「………………ッ!」
俺に寄ろうと腰を浮かせてた七生は声にならない声でその場に勢いよく座る。


家に帰ってまだ一回もキスしてない。それだけ時間がないのと、人はたくさんいるってこと。
で、自制効かなくなる。きっと一回唇重ねたら、どこまでもいってしまう。



体は無理。







特別なことだし、中々切れない。ましてや未練がましい男と男。

七生の将来の妨げになりたくない。



こんな気持ち、初めてだ。凄く欲しくて欲しくて堪らないのに、常に不安が付き纏う。

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