《MUMEI》
事なかれ主義なんか!
愚痴じゃないけど、
タクヤさんが話してた事

味方が、いないんだな
若くして代表取締役、
軋轢あるよな、会社の中でさ

タクヤさん、三代目の社長になるそうなんだ
先代の、タクヤさんのお父さんが、かなり資産を食い潰したみたいなんだよね、
それでも、まだまだ凄い資産だけど

親戚とも仲たがいしてるのは、遺産相続で揉めたらしい

寄って集って、金をなんとかしたいって連中ばかりらしい

恐いね、金持ちって大変なんだな

タクヤさんのお姉さんは、
好きにやりなって、
味方じゃないけどいっさい口出ししないそうなんだ

死んだ土地かぁ

アキナはバイト
ひとり、電車でタクヤさんが言ってた土地を身に来たんだ

人の流れを見たかったから、徒歩で来たんだよね

学生の俺に出来ることはなんもないだろうけどさ

ま、自分の経済学の勉強になればなって

すっかり夏日だった、
アチコチ歩き回ってロケーションを調べたりしてたんだ

そして、夜、アキナと、待ち合わせしてたんだよね
家庭教師のバイトが終わったら、外でご飯しようよってさ

初めての街の駅前で、アキナを待ってたんだ、
約束の時間は過ぎてたけど、
電話はしなかったんだ

40分遅れでアキナが、来たんだ

ごめん、待った?

ううん、

アキナの表情が硬い

話したいことがあるの

俺の手を引き、ロータリーの向こうの公園に

今日はヘルプだったんだよな、
休んだ人の代わりに出てくれないかって

アキナの、ブラウスのボタンがひとつ、
無くなってた……

俺を真っ直ぐ見て、真顔で話そうとしたアキナを、抱きしめたんだ

……力抜いて、
慌てず話そう、
大丈夫、俺はアキナの事、よくわかってるつもりだよ

………うん

泣いちゃった……アキナ…

ヘルプで行った先の、男子高校生が、突然襲ってきたんだって
逆らうとクビにするよって

そんなのに屈するアキナじゃないけど、
向こうの母親は、アキナが誘惑したと言ってるそうなんだ

わたし、クビかなぁ?

いいじゃん、なんとでもなるよ
一応電話しとくよ、
紹介してくれた、姉貴の旦那の顔も有るだろうからさ

うん……

ご飯だべよう、お腹すいてるでしょ?

スカート巻くられたの、
押さえたら胸を触ってきて、押し倒それたから、蹴っちゃったの

そっか

ごめんね

謝ることないじゃん、アキナは何も悪くないだろ?

でも…………

今のアキナは、そんなことしないよ
それに、アキナから誘惑したなら、最後までしてるよね?

………この前話した事、疑ってるの?

少しね

忘れてただけだよ、隠してた訳じゃ

アキナ………
ほんと、大変な彼女だよな、
後から後から色んな事が出てきてさ
でも、俺の大切な彼女なんだ

………ノブ…

ほら、行こうよ

うん……

……………






うん

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫