《MUMEI》

「カケル?顔が赤いわよ。具合悪い?」

「ややっ!本当です。体温も高い…大丈夫でしょうか!?」

顔を反らした所にいた二人に真面目に心配をされる。


ぬあぁ…そんな…そんなに俺を見るな…!


そしてまた体の温度が上がっていく。これは駄目だ。早く、列車よ来い…!


丁度その時。


プアアァアァアアァァアァァァアァァ!


「来たわね。」

現実の倍以上ある天井の無いホームにこれでもかと響き渡る汽笛。懐かしい様な、美しい音に皆がその方を向く。

すると空の彼方から列車が風を切り俺達の前を走る。

そして、定位置に着くと皆が乗り込む。

「「「ほっ。」」」

乗り遅れると問答無用で走り去るのを知っているので、俺達は素早く手摺に掴まった。

「アイ。」

呼ぶと、アイは嬉しそうに俺の胸ポケットにいそいそと入った。

形は汽車で、煙の匂いも忠実に再現されている。一つ違う事と言えば、扉がなく、走っている時も常に全開、という所だろうか。

乗り易いので、俺は好き――…だったが、今は賛否両論様々だろう。なんせ、下手に落ちたら`死ぬ´のだから。

この場合`死ぬ´というのは現実世界の`死´に直結するので、無茶をする者はいない。

だからだろう。いつもよりも乗り込んだ人数が少ないのは。

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