《MUMEI》

「一之瀬?」







高橋君が振り向いた









空気が 重い







「ど…どうしたの?一之瀬君…」










「…いや、心配で。小平に聞いたら教えてくれたから」










高橋君が動かない








「なるほどなぁ」








じろりと一之瀬君をみて、高橋君は私に向き直って、しゃがんだ








「な…何」







鼻先が触れそうになって、私は顔を反らそうとした







その時









「――ん――――……!」







高橋君が、くちびるを私に押しあてた

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