《MUMEI》

「真ん中らへんで良かったね。」


ハルがアルトに言う。ちなみにアルトは髪の中から移動して、いつの間にかハルのポケットにいた。

「あぁあの!」

そして、アイが俺の胸元から挙手。

「そろそろ、お話しても宜しいでしょうか?」

真剣な顔で俺達を見詰める。

「大丈夫よ。他の人に聞かれたくない話なら、テレパスで話してね。」

「はい。」

テレパスというのは、脳に直接語りかける事が出来るので、とても便利な能力だ。しかし、一般で使える者は妖精か、催眠スキルに長けてる奴とかだけで、珍しい能力のひとつだ。

実際言うと、俺には向いてない能力かもしれない。

理由は至極単純で、脳に語るくらいなら直接言うから、である。


自分の考えた事に自分で呆れていると、アイが瞳を閉じ、人差し指を額に当てている。

そして、ゆっくりと瞳を開いた。


`皆様、聞こえますか?´


クリアなアイの機械音が脳に響く。

そして、一応答えてみる。

`あぁ´

`うん´

みんなの返事が俺の脳にも響く。アイが語りかけているプレイヤーには筒抜けって事か。

`皆様聞こえていますね。それではお話します´

全員が眉間にしわを寄せ、こくんと頷いた。


`私は妖精…言うなればデータの集合体です。そして検索、体調管理、分析等を得意とする、ということは皆様ご存知の筈です´

`あぁ´

`そして、私は先程気にかかった事があったので、姿をこのミリオンヘイムオンラインの裏側と言っても良い、電脳世界、とでも呼びましょうか。そこに行っていたのです´

`電脳世界?´

アカネの声だ。

`はい。皆様プレイヤー方が、現実世界に戻っている時間の、私達妖精の帰る場所で御座います´

`それでその、気にかかった事っていうのは…何?´

ハルの声。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫