《MUMEI》

十分もしない内に、アカネの足が速くなって行く。そろそろだ、ということは容易に想像出来る。

「さ、ここが私の家よ。」

そして案の定、それから直ぐにアカネ宅に着いた。

「可愛らしいわね。とても素敵!」

「アカネっぽいな。」

屋根は鮮やかでくっきりとした青色で、壁もその青を引き立たせる様な鮮やかさ。なんともアカネらしい。

「嬉しい。どうぞ、中へ入って。」

玄関の扉に足を踏み入れる手前で、ふと横を見ると、庭も付いているらしかった。

バーベキューでもやったら楽しそうだな、なんて考えていると、アカネが急かしにやって来た。

「何やってんの?招待ID渡したよね。」

「あ、あぁ。」

改めて向き直り、玄関に一歩足を踏み入れると、シャラン、とお馴染みの指輪から音が鳴った。

「そのID登録しちゃっていいから。」

「了解。」

靴を足だけで器用に脱ぎながら、指輪からメニューを開く。

例によって赤い点滅マークに触れ、招待IDの承認。という知らせを確認して、触れる。更に登録をし、完了。

「これでいつでも来られますね、カケル様。」

アイが胸ポケットから可愛らしい顔を出した。

「そうだな。」

そのまま行こうとして、慌てて振り返った。

靴を揃えないと、あの二人は何を言うか知れたもんじゃないからな…。

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