《MUMEI》
友達
   〜麗羅視点〜


ホームルームが始まり、担任は話をしているが私には何も聞こえていなかった。


さっき蝶野が言った言葉が、心の中で何度も繰り返されている。


"友達"


繰り返す度に、私の心は暖かくなっていった。


私のことを"友達"って言ってくれる子なんて、今まで居たかな……?


何となく蝶野は、信用出来るような気がした。


でも、他人に期待なんかしない、もう信用したりしないって決めたのは私……。



期待すればするだけ、信じていればいるほど裏切られた時に傷ついてしまうから。




過去のことを思い出し、首を横に振る。


やっぱり簡単に人を信用したら駄目だ。


あの時みたいに裏切られるのは……もう沢山。


もうあんな思いしたくない。


ぎゅっと目を閉じて自分に言い聞かせる。


人に期待するな、簡単に人を信用するなと。



ホームルームが終わるとまたさっきの3人が、私の所に近づいてくるのが視界に入る。

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