《MUMEI》

5years after

私とジュン君は仲の良いまま中学生になった。
九回めの夏休み、地元の廃れた夏祭りに二人で行った。中学生最後の夏祭り

「冬、遅いよ。俺30秒くらい待ったし。」
「それ、全然待ってないよね・・・。」
「いや、結構待ったぞ。だって、ほいっ!」
「りんご飴・・・。」
「お前待ってる間に買っておいた。」
「ありがと。代金いくら?」
「100円だった。
 へへ、毎度ありー。そこの椅子に座って食おうぜ。」

夏祭りの音色とソースのおいしそな匂いが夏の生暖かい風に運ばれて鼻腔をくすぐる。
りんご飴が残り半分くらいに差し掛かったとき、ジュン君がおもむろに口を開いた。

「俺さ、お前に言わなくちゃ・・・」

そのとき

「青柳と佐々木がイチャついてるぞー!」
「イチャつくなって!」

と、からかいを含んだ声が聞こえてきた。クラスメイトだった。

「はっ!?お前ら何言ってんだよ!」
「照れんなって!幼馴染って時点で怪しいと思ってたけどなー」
「邪魔するなよ。佐々木照れてんじゃねーか。」
「えっ・・・!」
「お前ら、いい加減にしろ、待てー!!逃げんなー!」

ジュン君が立ち去った直後、花火がドーンと大きな音を立てて上がった。
ジュン君が戻ってくるんじゃないかと祭りの終わりまで待っていたけど、戻ってこなくて少し、寂しかった。

夏祭りの次の日、ジュン君の家に行ったけど会ってくれなくてジュン君が言いかけたことも聞けなかった。
もうすぐ夏休みも終わる。

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