《MUMEI》 2学期、学校に行くと私とジュン君が付き合っているという、噂が学年に広まっていて連日私たちはからかわれてしまった。 私とジュン君のココロの距離は遠くなっていくばかりだった。 秋も深まって紅葉が色付きはじめた、ある秋の夜ジュン君が私の家を訪ねてきた。私は二階の自室から玄関まで走った。 「ジュン君、どうしたの?」 「夏祭りに言いかけたことを言いに来た。ちょっと出るから、上着とってこいよ。」 「ジュン君、ここって・・。」 「うん、ヒミツキチ。ここだったら誰も来ないだろ。 俺、転校するんだ。明日ここの街を出ていく。」 「・・・・・え?」 「野球留学するために東京に行くんだけど、そこでお世話になるはずだったじいちゃんが死んでさ、 俺の父さんの実家でもあるし家を売りたくないって言っててさ、んじゃ引っ越そうってことになったんだわ。」 「ほんとに明日、行っちゃうの?」 「うん。」 涙が止まらない。別れの寂しさもあるけど、・・・・わ 「冬のことは、忘れない。」 「・・・・・。」 「お前は誰かと別れるとき、私のこと忘れない?って顔するよな。 心配すんな。俺は絶対にお前のこと忘れない。」 「・・・なんで、なんで言ってくれなかったの!!!ジュン君ずっと私のこと・・・っ、避けてたのに大事なことちゃんと言わないでっ!!! もっと早くに言ってよ・・・ひっく。」 「・・・ごめん。」 「ごめんじゃない!!」 「十年後!!!十年後、俺はお前に会いに戻ってくる!絶対。だから許してくれ。」 「・・・・・、わかった。許す。」 「ほんとか!?」 「手紙、書くよ。」 「うん。」 「電話もたまにするね。」 「うん。」 「忘れないでね。」 「こんなにやり取りしてれば忘れないって。 っと、もう10時じゃん。帰ろーぜ。」 差し伸べられた手を握って私たちは家路についた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |