《MUMEI》

     げ








七生だ。


トイレで鉢合わせた。個室に隠れていたようだ。

出ようにも用を足してる訳で、顔に出さないようにしてさっさといなくなろう。



「…………何?」
留まってるのをいいことに横に付いてきた。
用を足し終えて急いでチャックに手をかける。


「逃げんな。」
手首を掴まれた。


「触んな。学校だ。」


「どこにいたって触らせないじゃないか」


「そうだよ、」
解ってるじゃないか。
だから七生、早く俺を見離してくれ。

「もう嫌なんだ」
これで七生が俺を嫌ってくれればいい。


「何が?」


「ぜんぶ」


「マジに言ってんの?」
七生の顔はみれない。ただ、声でどんな表情なのかくらいは解る。

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