《MUMEI》
斎千のSSLです。
薄桜学園の学園祭開催一週間前の話。 

雪村千鶴は悩んでいた。なんで、一年の出し物に二年生の人たちが参加してるんだろう・・・・。

斎藤 「すまん、雪村、ここに平助たちが・・・・・。」
藤堂 「総司!!衣装はこっちのほうがいいって!」
沖田 「何言ってるの、こっちのが可愛いって。」
薫  「ていうか、沖田も藤堂も自分の教室に帰ったら?千鶴の衣装なら兄である僕がきめるからさ。」
風間 「何を言っておるか。我が妻の着るものは、夫の俺が決めるべきであろう。」

斎藤 「・・・・・・。」
雪村 「すいません。斎藤先輩。どうにも収集がつかなくて・・。」
斎藤 「いや、目を離した俺の責任だ。ときに、雪村、お前クラスは何をするんだ?」
雪村 「クラスじゃなくて学年全体で劇をするんですよ。」
斎藤 「なんの劇だ?」
雪村 「・・シンデレラです。ちなみにシンデレラ役は私です。」
斎藤 「そ、そうか。」

藤堂 「お、一くんじゃん。この衣装可愛くねーか?」
沖田 「何言ってるの、こっちのほうがいいよ。ね?一くん?」
薫  「お前ら全員二年の教室に帰れ!」
風間 「そのとおりだ。我が妻の衣装は俺が決める。」
斎藤 「落ち着け。全員教室に帰れ。ここにいつまでもいたら雪村に迷惑がかかるだろう。主役なのだから練習もあるだろうしな。」

騒いでいた空気がピタリと止んだ。

藤堂 「え?千鶴、主役だったのか?」
沖田 「僕、聞いてないんだけど?」
薫  「聞いてどうするの?王子様役は僕って決まってるんだけど。」
風間 「なに?未来の妻の相手役は未来の夫しかおらぬだろう。今すぐ辞退しろ。」

斎藤 「・・・俺も参加してみたいのだが。」

また、空気が静かになった。

沖田 「一くん、本気で言ってるの?」
薫  「斎藤が、意外だね。」
藤堂 「一くんマジで言ってる?」
風間 「ふん、たまには言うではないか。」
斎藤 「・・・いや、その・・・。」
雪村 「あの、皆さん。クラスの方はよいのですか?」
斎藤 「そ、そうだ。お前らクラスのこ・・と・・・・。」

沖田 「仕方ないからくじ引きで決めようか。」
藤堂 「よっし、絶対あたりを引いてやるぞ!」
薫  「負け犬の遠吠えだね。」
風間 「絶対、あたりを引いてやる。」
斎藤 「お前・・ら・・・。」
沖田 「ほら早く、一くんも」
斎藤 「・・・何故、こんなことに・・・。」

くじ引きは箱の中に入っている紙を引く、という、ありふれたものだ。
・・・・どこから、くじと箱を持ってきたんだろうと、千鶴は密かに思った。

薫  「・・・ちっ、ハズレか。」
沖田 「僕も、ハズレだよ。」
風間 「なん、だと・・・ハズレだと・・。」
藤堂 「あぁー!俺もハズレだ。」
薫  「・・・斎藤。」
藤堂 「薫くん、顔、顔がヤバイって。」
風間 「よりによって、斎藤とはな。」
沖田 「仕方ないよ。運だからね。」
雪村 「あの、斎藤先輩・・?」
斎藤 「雪村、よろしく頼む。」
雪村 「は、はい。」

怒涛の学園祭が始まろうとしていた。



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