《MUMEI》
里緒の考察3
もし高科以外に共犯者がいると山本が思っていると仮定するなら、おかしなこともある。

まず、山本が私に何も話さないということ。確信がないからと言ってまったく話さないというのは不自然だ。

この調査は手続きさえキチンと踏めば、一人で高科と話すことだってできる。つまり私という存在が不要なように感じられる。

山本の今回の様子から見れば………何かは分からないが山本が私に何かを求めている、そんな気がする。

私が今こんなことを考えているのが良い例だ。

高科と話しただけでは絶対こんなことを思わない。山本の奇妙な行動がこんなことを考えさせる原因になっている。

それは山本がわざと私に何か考えるようにさせている、こう考えられるんじゃないか。

−−私だって心理学者だ。山本の心理を見抜くことができるはずた。

そう………………これは数学の問題と同じ。

絶対に答えがあると思って解かないと絶対に解けない。

そんな問題だ。


でもそう思えば楽だ。……解けない数学の問題なんてない。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫