《MUMEI》

時刻は十七時四十八分を差している。現在時刻とリンクしている筈なので、現実世界も夕陽に染まっていることだろう。

「それじゃ、行こう。」

「うん。じゃあ、見つかったらレスって。アルト達はテレパスで。」

「了解です!」

俺が立ち上がるとハルもゆっくりと、でも確かに機敏に軽そうな腰をあげる。

「あ、その前に。沙弥の外見教えとく。」

忘れてた重要な事に気が付く。アカネも口を丸くしていた。

変なところが抜けてる集まりだな、と苦笑しながらも言葉を続ける。


「あ―――…と、髪は俺と同じ黒で、肩まで伸ばしてる。背はかなり低めで、百五十あるかないか。顔立ちはわりかし整ってる感じ。」

二人ともインプットするようにふむふむと頷いている。ハルは腕組みをし、アルトは何故か楽しそうだ。

「あ、あと、なんか犬っぽい。」


「「なるほど!」」


二人の声がハモったのが不思議だが、イメージしやすかった様で何よりだ。

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