《MUMEI》

さて、どうするか。

北と言っても、かなりの広範囲だ。二十五キロ平方メートル程の北を一人で捜索は難しい。

が、それは五人も同じだ。

ならばそこを問題化するのではない。どうやって捜すかだ。

「やっぱり、人に聞くのが一番か……。」

人を縫うように歩きながらも、周りへの意識は常に張る。

いつ何処に沙弥がいてもおかしくないのだ。

「…………。」


ふと、空を見る。

昼が程好く晴れていただけあり、夕陽が沈む様が綺麗に映し出されている。


そして、あの日を思い出す。


ハルと出逢った、あの日。

二人で外壁からアイテム《飛躍の翼》で飛び立った時に見た、感動的なまでのあの夕陽。

そうだ。あの時も俺は考えた。

《飛躍の翼》をどう使うかを。そして楽しんだんだ。一時一時を。

ならば今は、何をどう使うかを考えればいいのだろう。

少し止まった足を再び動かし、今度は人の流れに逆らい路地裏へ向かう。

ダダンッ!

地面を蹴りあげ壁に手をつき通りの店の屋根に上った。

「何をどう……あ!」

そうだ!

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