《MUMEI》

ク「シド様?」


そう言えば皆が一斉に目を向け、クラウディア
以外は驚いた目をしていた。


「これを使え」
ク「!?これはトマトですよね!」
「ドーソンから沢山貰っていたんだ。使ってくれ」
ク「いいのですか!?ありがとうございます!!」


私の持ってきたトマトでは少し足りなかったよ
うだが買いに行く時間は取れたのでオーダーに
はギリギリだが間に合ったためとても感謝され、
私にもピザをただで食べさせて貰った。


「ご馳走さま。美味しかったぞ」
ク「ありがとうございます。シド様がいなけれ
ば一時はどうなるかと思いました」
デ「まったくですよ。ほらジオも」
ジ「え、と…ありがとうございます…?」
デ「何だその疑問形は!」
ジ「す、すいませんすいません!!」
「……新人か?」
ク「はい、コルノ村出身の18歳になったばか
りで店の料理を食べて弟子にして欲しいと言っ
てきまして雇ったのですが…見ての通り弱々し
くて、失敗ばかりで困っているんですよ」
「!……ふーん」


怒られているジオという青年を観察した。体は
確かに他の料理人と比べて細いが、髪は明るい
茶髪に青い瞳で顔は整っていて料理人より接客
のほうが似合うような優男だったが私は青年に
違和感を感じた。彼は作るより教わりに来たよ
うな感じで、表情には反省の他に落胆の色も見
えた。


「君はジオと言ったね?」
ジ「え、はい、ジオ・マスカートと申します」
「出身はコルノ村だと聞いたけど、俺もコルノ
村出身なんだよ……ちょっと話をしないか?」
デ「我々は構いませんが?」
ジ「……分かりました」

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