《MUMEI》

「前に会いませんでしたか?」

一昔前の口説き文句みたいに、あいつは声をかけてきた。正直戸惑った。いくら街中とは言え、俺たちの会話を聴いてる奴は、何人かいるだろう。
けど、俺は迷わず答える。

「会ったことはあるが、百年近く前にだ。あんたは、どこで俺に会ったんだ?」
「百年前に、あなたと会ったわ。そして、恋人だったことも覚えているわ。あなたは?」
「俺も、覚えている。気持ちまでも覚えている。変な話だが、俺はあんたが好きだ。」
「私も、あなたのことが好きよ。」

俺たちは、百年の差を埋めるように、俺たちは付き合いだした。

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