《MUMEI》

招き入れたフィオナ姫は長い黒髪に黄色い落ち
着いたドレスを纏い、控えめな彼女に先程とは
違う緊張感があった。


フ「突然参りましてすみません」
ロ「いえ、ですが陛下はお休みになられており
ます。陛下にご用がおありなら後日になさって
ください」
フ「そう……ですか。……あの皇帝陛下は話で
は乱れた国を数年で立て直し、戦ではお一人で
相手の軍を落としたと…民からはとても慕われ
ていると聞きました」
ロ「そうがどうかなさいましたか?」
フ「……貴殿方から見てこの国をどう思います
か?」
ロ「少し話をしましょうか。ゼスは外を見てい
てくれ」
ゼ「分かった」
ロ「こちらの席にどうぞ。何かお飲みになりま
すか?」
フ「いえ、止めておきます」


席に着き、姫の顔を伺う。おしとやかな方だが
顔色は優れず暗い印象だった。


フ「私の父ドルガナス王は平和主義な方で荒れ
た他国に心を痛めておりました。そんなときデ
ィオマティス帝国の再建の話を聞き、気になっ
た父は使いを出し様子を見に行かせていたので
す」
ロ「そうだったのですか!?」
フ「戻ってきた使いから聞く話はどれも良いも
のばかりで、豊かな国となったと聞き、父はと
ても関心しておりました」
ロ「陛下が少年王だというのは?」
フ「父はきっと周りの者が動いたのだろうと言
っておりました」
ロ「(むしろシド様の方が走り回っていました
が)それで、我らに意見を聞きたいと…?」

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