《MUMEI》 馬車から下ろされ、腕ごと体を縛られたまま城 の中へと連れていかれた。イオル王子と伯爵は お互い声はかけないが心配そうに見ていた。 兵「座れ!王太子エドガー様が来られる」 イ「くっ……」 謁見場の玉座の奥から豪華な宝石や服を身に付 けた青年が現れ、イオルを目に止めるとニヤリ と笑った。 エ「逃げるのもここまでだな、イオル。そう睨 むなよ、せっかくお前のための婚約だぞ?」 イ「何が俺のためだ、あんたが俺を王座から遠 ざけるために仕組んだことだろう!!」 エ「ふん、父上が王位をお前に譲ると言わなけ ればこうならなかっただろうさ。まぁその父上 も病で後わずかだろうよ」 イ「まさか父上を見殺しにする気か!?」 エ「婚約が成立し、国を出るお前に関係ないな。 お前は大人しく王女と婚約するんだな」 伯「エドガー王子……ぐっ!?」 エ「エドガー王"太"子だ。次の王は私だ!」 イ「ロドリーゴ伯爵!!」 腹を蹴られた伯爵は苦しげに顔を歪ませ、イオ ルは伯爵に駆け寄りエドガーを睨み付けた。 エ「婚儀は明日だ!その間イオルを部屋に閉じ 込めていろ。伯爵とそこの二人を牢に入れろ。 なぁに、婚儀の余興に処刑してやる。ハハハ」 高笑いをして去っていくエドガーをこれでもか と睨みつけイオルは連れていかれた。私達は罪 人だからか扱いは雑に引きずられるように牢に 連れていかれた。 前へ |次へ |
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