《MUMEI》

「…魔法使いが一粒種じゃなかったら……?」
ロ「……見てごらん。あの家からこれが出てき
たんだ」


取り出したのは赤い指輪だった。金の装飾がさ
れ一目で高価なものだと分かった。


ロ「この赤い指輪はディオマティスの地下でし
か採れない宝石ディオスフィアが嵌め込まれて
いる。そのためこれは代々国宝として王家に受
け継がれるもので、王家の血を引く者にしかは
めることが出来ないもので私も一度しか見たこ
とがなかったけれどその時、言ってた。この指
輪をある人に渡したい。妻に迎えたいと。その
指輪がここにある。絶対に間違いはないと信じ
ているんだ」


その話を聞いて決心した私は夜、村中の人を集
めた。カインは何となく気付いているようで苦
い顔をして、エレナさんは心配するような顔で
見ていた。


ロ「今夜は何かあるのですか?」
「ロイドさんさっきの指輪貸してください」
ロ「これを…ですか?」


渡された指輪を右手の中指にはめた。ブカブカ
だった指輪が一瞬で指のサイズになった。俺も
少し驚いたがそれを見ていたロイドさんは信じ
られないといった顔で俺を見ていた。


ロ「き、君は一体……」
「ロイドさん、今まで騙していてすみません。
俺はこの村に住む噂の魔法使いシドヴィルグと
申します」


優雅にお辞儀した俺にロイドさんは見事に固ま
っていた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫