《MUMEI》

「ロイドさ……」
ロ「ロイド、とお呼びください。殿下」
「で、殿下って……分かった。ロイド」
ロ「はい、殿下」
「殿下は止めろ。ため口でいい」
ロ「しかし…」
「いいから」
ロ「……本当?まじ疲れるんだよねー敬語」
「な、そっちが素か!?」
ロ「顔はいいのに性格悪いって親に言われてか
らは本気出せば敬語でいけるんだけどストレス
溜まりまくり。村ではほぼ一日中だし、あのカ
インってやつ毎回睨んでくるから睨み返さない
ようにスゲー我慢したぜ」
「イメージ崩れた。お前、本当に性格悪いな」
ロ「どうも♪」
「褒めてねぇよ!」


こうして主従関係が円満(?)に結ばれた。


初めての山越えだったが畑仕事で培った体力で
何とか乗り越え、帝国に着いたのは次の日の昼
頃だった。


「やっと着いたのか……」
ロ「あれが帝国の正門です。行きますよ」
門番「名を名乗れ」
ロ「王臣ロイド・ハーディス。この者は私の付
き人シド・リドルだ」
門番「いいだろう、通れ」


(リドルはエレナさんとカインのファミリーネ
ーム)


門を抜けた瞬間あり得ない光景に目を疑った。
美しかったであろう建物は大半がボロボロに崩
れ、水は黒く濁り、悪臭がした。一番酷いのは
民だった。ボサボサの髪に継ぎはぎだらけの服、
頬は痩け骨と皮だけの四肢。それに比べ貴族階
級の者たちは豪華な衣装を見に纏っていた。

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