《MUMEI》

「怪我はないな?」
キ「あ、は…い」
「そうか」
リ「あ、あの、どうして助けてくれたんですか
?」
「当たり前なことだ。民を守ることこそ王のや
ることだろう?」
リ「……は」


呆けたような顔の彼らに背を向け、縄や木の蔓
で衛兵を縛り付けた。


「ロイド、城へ行く」
ロ「は!!」
ゼ「お前……」
「ゼス、国が変わる瞬間だ。近くで見たくはな
いか?」
ゼ「あ、ああ!!」


城へと向かうその姿に容姿はどうであれ、人々
は彼こそ王に相応しいと感じた。


ガーディスは処刑があるというのに城で他の貴
族等と一緒に豪遊していた。中に入ると数人の
女を侍らせ、酒を飲んでいたガーディスは不機
嫌そうに睨み付けてた。


ガ「何だ貴様らは。我はディオマティス皇帝だ
ぞ」
「初めまして皇帝陛下。まぁ、今日から皇帝で
はなくなりますがね」
ガ「我に向かって無礼なっ」
ロ「無礼なのはガーディス殿です。この方はア
ダンフォード陛下の実子。今日より皇帝となら
れる方ですよ」
ガ「アダンフォードの……?ハハハ奴には子は
なかった。だから我が皇帝となったのだ。それ
に証拠はあるか?」
「あるぞ?」


俺が指輪を見せるとガーディスは驚いたように
瞠目した。


ガ「その指輪は王家の……っし、しかし王にな
れるのは最低でも15からだ。見たところ10
そこら。王にはなれんぞ!」
「残念ながら、見た目はあれですが俺は15歳
です。王座に着けますね」
ガ「なっう、嘘だ!衛兵!誰かおらんのか侵入
者だ!早くこの不届き者を追い出さんか!?」


しかし衛兵のほとんどは外で倒れているか捕ま
っている。その場にいた貴族等や女は嫌な雰囲
気に俺達から離れ壁際に立っていた。


「さて、ガーディス。そろそろその王座、退い
てもらう」

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