《MUMEI》

ガ「が、ガキがあああぁぁ!!」
ロ「シド様!!」


怒り狂ったように剣を抜き振りかぶってきた。
ロイドは焦ったように叫んだが俺は手を前に出
し防御壁を出して防いだ。弾かれたことに初め
は動揺していたが直ぐにわめきながら剣を振り
回してきた。


「悲しいな。血の繋がった親族よりも血の繋が
らない家族の方がよっぽど家族らしいとはね」
ガ「誰が貴様なんぞと!庶子が王家に入るなど
高貴な帝国の血が汚れるわ!!」
「その高貴な血に苦しめられるくらいなら血が
汚れようとマシさ……それにウザイ」
ガ「っ!?」


手を動かして魔法でガーディスの動きを止め、
その拍子に落としたガーディスの剣を掴みガー
ティスの首もとに添えた。


「ゼス、お前ならこの男をどうする」
ゼ「殺す」
ガ「…ひっ」
ゼ「……と言いたいところだがそれだとそいつ
と同じになっちまうからな。アンタの好きにし
ろよ」
「そうか」


ゼスの答えに満足した俺は手をガーディスの頭
にのせた。


ガ「なっ何…を……」


気絶して倒れたガーディスを反対派の者にどこ
かの町か村の近くに捨ててくるよう伝え託した。


ゼ「何をしたんだ?」
「記憶を消したんだ。少しは立派な人間になっ
てほしいからな」
ロ「シド様は優しいです。そして甘い」
「分かってる。だが甘いからこそ見える部分も
ある。それに俺が甘いのはコルノ村とロイド以
外の帝国の者だけだよ」
ロ「なるほど……って私以外ってどういうこと
ですか!?」
「お前は俺が命じない限りずっと敬語な。勝手
にため口言ったら罰ゲームな」
ロ「そ、そんな!?」
ゼ「……(なんとなくロイドの立ち位置分かっ
たわ)」


城の正面に当たるテラスに出ると一般階級と一
部の貴族階級の人達が城の正面に集まっている
のが見えた。何人かの人が俺を見つけ指を指し
ていた。俺は彼らに笑みを浮かべ、魔法で花び
らを出して舞い降らせた。その瞬間、一斉に歓
声が上がり、涙を浮かばせ抱き合っている者も
いた。


後ろからロイドやゼス、着いてきていた反対派
の者達がゾロゾロと出て、それぞれ仲間に手を
振っていた。


「我が名はシドヴィルグ・リドル・ディオマテ
ィス!今日よりディオマティス帝国の皇帝とな
ることをこの場で宣言する!!」


帝国は十数年の笑顔に包まれ、人々はこの日を
帝国革命日として毎年盛大に祝う事になる。

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