《MUMEI》 目が覚めたが窓から見える空はまだ薄暗かった。 二度寝して目が冴えた俺は特にすることなくボ ーッと天井に描かれた太陽を背に翼を広げる鷹 の模様を見つめていた。ふと何故これが描かれ ているのかと思い、ディオマティス帝国の歴史 を知らない事を思い出し、本棚にある国の歴史 の記された本をロイドが起こしに来るまで読み あさった。 ――世界を作り出した太陽神アデルザダンと月 神女イヴハートスはその世界に自分の分身を下 ろした。アデルザダンの分身は力と正義で『デ ィオマティス帝国』を、イヴハートスの分身は 知識と心で『ランドルシア王国』を建てた―― 読んでいた本を閉じ、伸びをする。凝った肩か らはゴキッと音が鳴った。史実によれば太陽の 紋様の秘密は太陽神の血を引くから、鷹は太陽 神の使いだと言われているからということがわ かった。その代わり『ランドルシア王国』と言 う聞いたことのない国の存在が浮上した。ロイ ドに聞いてみたが知らないようだったが古い地 図には『ランドルシア王国』の名前が記されて いるがまだ新しい地図には記されては無く、つ まりもう滅んでしまったのだと分かった。 どんな国だったのか、何故月神女の血を引く国 が滅んでしまったのか?次々に浮かんでくるが、 ロイドが持ってきた山のような書類に考えは一 瞬で吹っ飛んでいた。 前へ |次へ |
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