《MUMEI》

ド「そうだ、今日収穫したばかりのトマトとキ
ュウリがありますからお持ちください」
「ありがとう。大事に食べるよ」


トマトやキュウリ等も前世の知識で新しく作り
始めたものの為、名前もそのまま前世のをつけ
ることにした。見たこともない野菜(果物)の作
り方を知っているためドーソン達からは影で野
菜の神と呼ばれていた。


貰ったパンパンに入った野菜の袋を手に向かっ
たのは城下町で一番有名なレストラン「クラジ
ュ」だった。店の前には長蛇の列で入れないた
め私は客の時以外は裏から入るようにしている。
店に入れば忙しそうに走り回る従業員に躊躇っ
たが来た以上仕方ないとオーナーのクラウディ
アに話しかけた。


「クラウディア」
ク「この料理二番テーブルに!あ、シド様?い
つの間に…」
「ついさっきだ。今日は多いな」
ク「最近出来た釜で一昨日からシド様が教えて
くださったピザを作って出したのが好評だった
ようで昨日から客が多いんですよ」
「そうだったのか」


ガシャーン


?「バカ野郎!何やってんだ!!」
?「す、すいません!!」
ク「ディーノ、どうしたのですか」
デ「オーナーすみません。ジオがピザに使うト
マトの入ったボールを落として……」
ク「つぶれて使えないわ……どうしましょう、
トマトはこれで最後。これじゃピザは作れない
わ!」
デ「入っているオーダーはどうするのですか」
ク「お断りするしかないわ」
ジ「申し訳ありません!俺なんでもしますから」
デ「何でもさせた結果がこれだぞ!お前のせい
で店の名に傷がつくんだぞ!!」
ク「ディーノ、責めるのは止めなさい」
デ「ですが……」
「諦めるのはまだ早いぞ」
全「「「!?」」」

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