《MUMEI》

三年後、随分と時間はかかったがコーヒーや紅
茶の淹れ方も知識も覚え、デザートはこの世界に無かったジャンルだったため
教えるのには骨が折れたが簡単なプリン、ショ
ートケーキ、シフォン、夏用にアイスを用意し
た。料理も予定していたが今は飲み物とデザー
トだけでやってみようとなり、初夏「ジオーズ
・カフェ」としてオープンした。…………が、
客足はなかなか伸び無かった。私は原因を知ろ
うと見ていたらどうやらジオにあったようだ。


財政が苦しかったためかおしゃれは二の次だっ
た彼はどうにも地味だった。顔は整っているが、
それは伸びたややボサボサの髪でよく見えず、
私服でやっていたが私服も質素だった。ならば
彼を変えようと髪は美容師に頼み、癖をそのま
まに髪を整え見えてきた顔に美容師は驚き、顔
を染めていた。私服は俺が似合いそうなものを
次々に選び全て買った。(驕りだと言えば拒否
されたため出世払いとなった)制服も序でに作
ってもらった。


次の日、制服を来て店を開いた所、客足(主に女
性)が一気に延び上がり、ジオはとても驚いて
いた。店はそこまで広くはないため席待ちの列
が見たことがないほど長かった。閉店した後報
告に来たジオはとても興奮していた。だが何故、
今日は客が多かったのか全く自覚していなかっ
た。挙句服装が変わったからだと言い出し、彼
が鈍感だとその時理解した。

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