《MUMEI》
半分
私はこの事件全体の1パーセントぐらいしか見えてないだろう。
しかし、本当に重要な所はそこじゃない。

「私の答えはどうでしたか?」

「まだ全てを言い切った訳じゃないだろ」

−−さすが………やっぱりすごいねあんたは。

「本当の犯人はもう死んでいる。これはあってますか」

「あぁ、警察に内緒で単独で調べた。まず間違いなく死んでいる」

「そんなことまでもう調べがついてるんですか。はぁ、私は頭の中でそうじゃないかと思った段階なのに」

「俺が求めているものが分かったって言っただろ、それが何か教えてくれよ」

「分かったのは半分だけです。高科は犯人を庇っているだけですよね。だけどこれを証明してしまうと大変なことになるかもしれない、そう思います。高科は自らの命に代えてでも事実を曲げようとしているんですよ。仮に釈放されても、これからまともに生きていけない気がします。

山本さんは前に言いましたよね。人は人を殺したら生きていけないって、でも生きる目的を無くした人も生きてはいけない、そんな気がします。

だから私達が高科の無実を証明することが高科の為にならない。

ならどうするか、その答えを探す、それが山本さんが私に求めたことなんじゃないですか」

「あぁそうだ。半分しか分かってないって言ったよな。考えることまでは分かったが答えが出ないってことか」

「はい。今の所はまだ」

「そうだな、どうすればいいのか分からないな」

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