《MUMEI》

俯いていた顔を上げ、フィオナ姫は話し出した。


フ「ここは貿易が盛んで活気ある国だと
聞いていたため政略だとしても応じました。し
かし、実際目の当たりにしてとても衝撃を受け
ました。エドガー様は金銭に目がくらみ民が苦
しんでいるというのに贅沢な暮らしをして、病
に倒れた父王のお世話をなさっていませんでし
た。私はこの国では権限はありませんから王の
お世話をしか出来ません」
ロ「父王の世話もしないとは…国に入ってから
荒れた城下に驚きましたよ。王女がそこまでお
っしゃるくらいだ思っていたより酷いのだろう」
フ「エドガー様と結婚するのであれば自国に戻
っていましたが、イオル様とですから人を見て
判断したいとお待ちしておりますがイオル様は
いないようですし……」
ロ「利用されるのを避けるためか、只、婚約が
嫌なだけなのかは分かりませんが、どちらにし
ろ彼が戻らねば始まりませんね」
フ「そうですね……」
ロ「……今日はもう遅いですからそろそろお戻
りになったほうが良いかと」
フ「あ、そうですね」
ロ「お一人で大丈夫ですか?なんでしたらゼス
に送らせますが……」
フ「大丈夫です。話を聞いていただきありがと
うございました」


王女は部屋から出てお辞儀をし、燭台の灯る廊
下を歩いていった。


ゼ「あの姫さんは優しいな」
ロ「聞いていたのか?盗み聞きとはな」
ゼ「てめぇに言われたくねぇよ。イオル王子っ
てのがエドガーの奴と同じだったら殴り込んで
やるさ」
ロ「他の国の婚儀を邪魔する奴がいるか!……
はぁ、シド様は居ないし、この国の問題にも巻
き込まれそうだし、それもこれも全てシド様の
せいだ。帰ってきたら今度こそキッチリ叱って
おかなければ!!」
ゼ「……(そうやって毎度やり返されるくせに)」


ゼスは哀れな幼馴染みに小さく溜め息をはいた。

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