《MUMEI》

牢屋では――


自力で牢屋を見つけ出したロイドは漂ってくる
血の臭いに顔をしかめた。三人は一番奥の牢屋
に入れられていた。


ロ「シド様はいらっしゃいますか?」
ジ「ロ、ロイド様!?」
伯「貴方は…?」
ロ「貴方がロドリーゴ伯爵ですね。私はディオ
マティス帝国のロイドと申します」
伯「ディオマティス帝国の!?……何故こんな
ところに……」


ロイドは答えず、見当たらないシドの事を聞い
た。


ロ「それで……シド様は?」
ジ「こちらにいますが、その……」
ロ「まさか、シド様に何かっ…?」


言いづらそうに、戸惑う様子のジオにロイドは
シドに何かあったのではないかと焦った。


ジ「そうではなく、その……寝ているのです」
ロ「は……?」


見れば奥の藁にくるまった小さな塊が見えた。
この人に心配した自分がバカだったと溜め息を
はいた。


伯「子供には血の臭いはキツイだろうと思いま
して、私が寝ることを勧めたんです」
ロ「そうでしたか」


見た目子供のあの人の事を知らなかったロドリ
ーゴ伯爵の言葉に基本、子供扱いを嫌うあの人
でも流石にしたがったのだろうと納得した。


ロ「少し話があるのですが、大きい声は出せま
せんからジオくん……叩き起こしてください」
ジ「えっ!?む、無理です!?」


ストレス解消出来るし叩くのは自分ではないし、
あの人は途中で起こすと機嫌が悪くなり、起こ
す自分に仕返しが来るのでそれもないだろうと
踏んで、強制的にジオにやらせようと思ったの
だ。


ロ「頼みます。このままでは処刑になります。
そうなれば今しか話が出来ないのですよ」
ジ「で、ですが……」
ロ「お願いします、ジオくん」ジ「う、わ、分かりました……」
伯「シドくん、起きてください。君に話がした
いとディオマティス帝国の方が来ておられます
よ」
ロ、ジ((ロドリーゴ伯爵ぅぅ!?))


ロドリーゴ伯爵に揺り起こされ起き上がったシ
ドの姿を二人はドキドキと見つめていた。


「ディオマティス……?……あぁ……」


シドと目の合った瞬間、睨まれロイドはパッと
目をそらした。近付いてきたシドに怯むなと自
分を叱咤して向き直ったが、笑顔で目が本気の
シドにロイドは悪寒に震えた。


その状態が計画を立て終わるまで続き、ジオは
必死にロドリーゴ伯爵が近付かないようにして
いたのだった。

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