《MUMEI》 勿論結婚願望はある。出来れば早い内がいいの だが、そう簡単に相手が見つかるとは限らない。 それに今は男だから女の人しか愛せないけど、 前世が女だったからか少しだけ抵抗があった。 そしていつも考えるのは薫の事だった。前世で 愛していた恋人に何だか申し訳ないと思ってし まうのだ。 「薫がこの世界にいたら悩まなくてすむのにな ……」 今回ハッキリと妃を求めてきた姫達を見て、俺 は自分に見合うのは薫しかいないと思った。薫 は元気だろうか?虐められていないだろうか? 俺の事をまだ覚えているのだろうか?それとも もう忘れてしまったのだろうか?今思い出せる のは薫と言う名前だけ。朧気になった顔を思い 出そうと目を閉じた。思い出を胸に夢で会える 事を願った。 前へ |次へ |
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