《MUMEI》

フカフカな椅子にもたれ、深く溜め息をはいた。
朝早くからずっと机に向かっていたため、目が
シパシバして、腕と肩に重みを感じた。


そのままボーッとしているとロイドが昼食を手
に部屋へ入ってきた。


ロ「机は書類がありますからこちらのテーブル
で食べてください」


返事をするのも億劫で頷いて机から離れたテー
ブルへと歩いた。


ロ「今日はシド様の好きな和食で、イビルニー
ドから届きました魚を使って……シド様、大丈
夫ですか?」


足取りがフラフラな私を見て、ロイドは心配そ
うに声をかけた。


「大丈夫だ」
ロ「しかし…やはり少し休眠を…」
「大丈夫だ、と……言って」
ロ「シド様!?」


倒れかけた私をロイドが受け止めたが、起き上
がる事ができなかった。次第に意識が遠くなり、
ロイドの医者を呼ぶ声を最後に意識を失った。


ロ「……どうでしょうか?」
ク「疲労による風邪ですね」


耳から聴診器を外してそう答えたのは城の専属
医師クロード・リーヴス。彼はハーフエルフで、
長い銀髪を後ろで束ね、フレームのない眼鏡を
上げてシドを見ていた。


ロ「やはり、働きすぎでしたか」
ク「薬を飲ませれば直ぐに治りますが、暫くは
休ませて下さい。薬は後ほど届けさせます」
ロ「分かりました。ではそのまま髪を解かずに
お帰りください」

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