《MUMEI》

困った人だと、先と同じ言葉
それでもロイドの表情は優しく
その手は未だ気遣う様に遠慮がちに小野坂に触れる
触れられるソコに、もどかしく籠っていく熱
だが終わるには足りず、そのもどかしさに小野坂はロイドを押し倒しその上に馬乗りになった
ヒトの身体を忠実に摸したロイドのソレ
小野坂は自らが欲するモノに触れると、そのまま腰を降ろす
「……ごめん、な」
感じてしまう痛みと、その中に混じる快楽に、小野坂の頬を涙が伝う
辛いのは、苦しいのは、小野坂自身だろうに
愛されることに、この主は酷く不器用だと
ロイドは小野坂の頬へと手を触れさせ、ソコを伝う涙を拭ってやっていた
「愛させてください。あなたを」
ソレを今、小野坂は望んでいるだろうを察し
泣くことに震えてしまう唇を塞いでやった
交われる部分全てで小野坂を愛してやりたいと
更に深く身体をつなげる
「嫌、だ。ロイド、俺、怖い、から……!」
過去のソレを思い出してしまうのか、身体を強張らせる
「大丈夫だから。良、俺を見て下さい」
触れているのは、深い所に居るのは自分なのだと視線を合わせる
宥める様に頬に触れてやりながら、ロイドが小野坂の中心に触れてやれば
「……ぁ」
短く声を上げ、小野坂は終わりを迎え
ロイドの腕に縋りついたまま、意識を手放してしまった
支えを失い崩れてくる小野坂の身体を受け取ってやりながら
「……無理をさせてしまって、すいません。でも、俺は――」
アナタを、ちゃんと愛したかった
小野坂の耳元で呟いてやっていた
その声に反応するかの様に小野坂は僅かに寝返りを打つと
ロイドの手にしがみつく
「……ロ、イド」
名前を呼ばれ、何かを返して見たがどうやら寝言の様で
そんな時に、子供の様な笑みを見せるものだから
「……本当に、困った人だ」
苦笑を浮かべてしまいながら、ロイドは小野坂と同じベッドへと入り
そのまま首裏にあるスイッチを自ら入れ、寝に入ったのだった……

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫