《MUMEI》

ロ「!……やはり、シド様には敵わないですね。
薬を飲んだなら暫くは休んでください。ゼス、
贈り物は運び終えたなら引きますよ。クロード
も」
ゼ「!……っあ、ああ」
ク「……ええ」


ロイド達が出て、足音が聞こえなくなったら俺
はベットから飛び降りて洗面所に走り、たった
今飲んだはずの薬を全て吐き出した。水をがぶ
飲みしていると秘密の通路からロイドが走って
きた。


ロ「シド様!気分は!?」
「……大丈夫、薬は飲んでない。全て吐いたか
ら落ち着け」
ロ「ベットのしたにある解毒薬で足りますか?」
「ああ、水を頼む」


俺は差し出されたタオルを受け取り、ベットへ
戻り、解毒薬を飲んだ。


ロ「アイコンタクトは驚きましたがやはり……
毒、でしたか」
「ああ、効果は直ぐに出ないザクニスの花の毒
のようだ」
ロ「そこまで分かるのですか!?」
「魔力が高いからか毒を飲むと体が拒絶して吐
き出そうとするんだ。種類は味だな。前にも似
たようなことがあった」
ロ「前にも毒を!?」
「村にいたときに間違えてな。だからいちいち
叫ぶな」
ロ「す、すみません」
「とにかく、クロードには吐いたことは秘密に。
ロイドはクロードの裏に誰がいるか探れ」
ロ「裏……?」
「クロードは性格はあれだが、心根は優しい奴
だ。信頼しているのは本当だからな。俺は暫く
寝るから頼んだよ」
ロ「はい、畏まりました」


俺は見ていたのだ。クロードが俺の信頼すると
いう言葉に嬉しい顔をしたが直ぐに哀しげに俯
いたのを――。

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