《MUMEI》
予感
〜10年前〜

---神護の森付近にて

森の近くにある小さい村では昔から森に神が住んでいると言い伝えられていた。その森に人が入ることはできず、すぐに森から追い出されてしまうといった状態であった。
ある日その森から5歳にも満たないの人の子が角の大きな鹿に連れられ村にやってきた。その子はその地には異質な髪の色と瞳をしていて村の人間は大層不気味がり、取り敢えず貧困に困っていたモリニャ家に押し付ける形で任せることにして、村の人々は幼子の処遇を決めるべく話し合いを開いていた。
一番に長老が話し始めた。

「あの娘は、おそらくはあの森に住む神さんの使いじゃろ…。ワシら長老に伝わる神護の森の伝説に出てくる使者と同じ容姿をしておる。現れ方も全く同じなんじゃよ。ただし違うのは年齢かのぅ…、昔は20くらいの美しい女性じゃったらしいしのぉ。あの子は幼く、まだ可愛らしい幼子。」

話の意図が見えない若者が声をあげた

「長老よ、だからなんだというのです。あの子は人の入れぬ森から現れたのです、きっと人間ではない何かなのです。さっさと村の外に出した方がいいのでは。」

何人が不安要素を排除したいのか賛同する。
長老は続ける。

「聞いておらんかったのか、あの子は神に遣わされた使者なのだよ。きっと

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